卵子凍結は、薬で卵巣にはたらきかけて育てた卵子をとり出し、凍らせて保存しておく方法です。将来の妊娠・出産を約束するものではなく、凍結したときの年齢が若いほど出産につながりやすいとされています。保険は使えず、費用や体への負担もあるので、よく知ったうえで考えることが大切です。

凍結した卵子を使った人のうち、出産した割合(凍結したときの年齢別) 凍結した卵子を使った人のうち、出産できた割合 凍結したときの年齢別 35 歳以下 約 5 割(52%) 全体 約 3 割(28%) 40 歳以上 約 2 割(19%) 0 50% 100% これまでの報告では、凍結した卵子を実際に使った人は 1 割ほどです 海外の 10 の研究をまとめた報告(2024 年)
凍結した卵子を使った人では、凍結したときの年齢が若いほど、出産できた割合が高くなります。これまでの報告では、凍結した卵子を実際に使った人は 1 割ほどです。 出どころ: Planned oocyte cryopreservation: a systematic review and meta-regression analysis(2024)、Return rates and pregnancy outcomes after oocyte preservation for planned fertility delay: a systematic review and meta-analysis(2024) 画像として保存

どのように行うのでしょうか?

説明と検査(血液検査・超音波・AMH など)のあと、排卵誘発剤で卵巣にはたらきかけて、いくつかの卵子を育てます。薬を始めてから採卵まで 10〜14 日ほどで、通院は検査と合わせて 4〜5 回ほどです。

採卵では、超音波で見ながら、腟から卵巣に細い針を刺して卵子をとり出します。とり出した卵子は凍らせて、液体窒素の中で保管します。保管は更新の手続きをしながら続け(間隔は医療機関で違います)、多くの医療機関は使うときの年齢の上限を 45〜50 歳ほどにしています。

凍結した卵子で、どのくらい出産できるのでしょうか?

将来のために何かしておきたい、と考えるのは自然なことです。いくつもの研究をまとめた報告では、凍結した卵子を使った人のうち、出産できたのは 3 割ほどでした。凍結したときに 35 歳以下だった人では 5 割ほど、40 歳以上では 2 割ほどです。

卵子の数と質は、30 代半ばから大きく下がります。東京都の調査では、1 回の採卵で凍結できる卵子は、30〜34 歳で平均 10 個ほど、35〜39 歳で 8 個ほどでした。日本生殖医学会は、病気の治療と関係のない卵子凍結では、採卵するときの年齢は 36 歳未満が望ましいとしています。

凍結した卵子は、どのくらい使われているのでしょうか?

凍結した卵子を実際に使う人は、1 割ほどです。都内の医療機関の調査でも、凍結した健康な女性 4,567 人のうち、使ったのは 8.4% でした。凍結したあとに自然に妊娠したり、そのときの自分の卵子で治療したりする人も少なくありません。

体への負担やリスクは、あるのでしょうか?

  • 卵巣が腫れておなかに水がたまる、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こることがある。おなかの張り・急な体重の増加・尿が減るときは、すぐに医療機関に連絡する
  • 採卵のときの痛み、まれに出血や感染、膀胱や腸などの傷
  • 凍結した卵子を使っても、妊娠するときの年齢が上がることによるリスク(妊娠高血圧症候群、早産など)は、そのまま残る

日本産科婦人科学会は、こうした卵子凍結を推奨も否定もせず、正しい情報を知って納得したうえで決めることを勧めています。

費用や助成は、どうなっているのでしょうか?

病気の治療ではない卵子凍結は、保険の対象になりません。凍結した卵子を使う治療も自費です。都内の医療機関に聞いた 2023 年の調査では、卵子凍結の総額は、安いほうで 30〜40 万円ほど、高いほうでは 50 万円を超える施設が半分ほどありました。凍結する卵子の数でも変わり、保管にも毎年費用がかかります。

国のモデル事業では、都道府県を通して、1 人 1 回、20 万円まで助成を受けられることがあります。健康な人は 18 歳以上 36 歳未満・未婚が対象で、講習会の受講と、凍結後およそ 10 年、年 1 回の調査への参加が条件です。都道府県によっては対象になりません。東京都は、18〜39 歳の都民に独自の助成をしています。くわしくは、こども家庭庁の卵子凍結パンフレットと、東京都福祉局の卵子凍結の助成のページで確かめられます。