卵子凍結は、薬で卵巣にはたらきかけて育てた卵子をとり出し、凍らせて保存しておく方法です。将来の妊娠・出産を約束するものではなく[1]、凍結したときの年齢が若いほど出産につながりやすい[5]とされています。保険は使えず[1]、費用や体への負担もあるので、よく知ったうえで考えることが大切です。

凍結した卵子を使った人のうち、出産した割合(凍結したときの年齢別) 凍結した卵子を使った人のうち、出産できた割合 凍結したときの年齢別 35 歳以下 約 5 割(52%) 全体 約 3 割(28%) 40 歳以上 約 2 割(19%) 0 50% 100% これまでの報告では、凍結した卵子を実際に使った人は 1 割ほどです 海外の 10 の研究をまとめた報告(2024 年)
凍結した卵子を使った人では、凍結したときの年齢が若いほど、出産できた割合が高くなります。これまでの報告では、凍結した卵子を実際に使った人は 1 割ほどです。 出どころ: Planned oocyte cryopreservation: a systematic review and meta-regression analysis(2024)、Return rates and pregnancy outcomes after oocyte preservation for planned fertility delay: a systematic review and meta-analysis(2024) 画像として保存

どのように行うのでしょうか?

説明と検査(血液検査・超音波・AMH など)のあと、排卵誘発剤で卵巣にはたらきかけて、いくつかの卵子を育てます[1]。薬を始めてから採卵まで 10〜14 日ほど[1]で、通院は検査と合わせて 4〜5 回ほど[1]です。

採卵では、超音波で見ながら、腟から卵巣に細い針を刺して卵子をとり出します[1]。とり出した卵子は凍らせて、液体窒素の中で保管します[1]。保管は更新の手続きをしながら続け[1](間隔は医療機関で違います)、多くの医療機関は使うときの年齢の上限を 45〜50 歳ほど[1]にしています。

凍結した卵子で、どのくらい出産できるのでしょうか?

将来のために何かしておきたい、と考えるのは自然なことです。いくつもの研究をまとめた報告では、凍結した卵子を使った人のうち、出産できたのは 3 割ほどでした[5]。凍結したときに 35 歳以下だった人では 5 割ほど、40 歳以上では 2 割ほど[5]です。

卵子の数と質は、30 代半ばから大きく下がります[1]。東京都の調査では、1 回の採卵で凍結できる卵子は、30〜34 歳で平均 10 個ほど、35〜39 歳で 8 個ほど[8]でした。日本生殖医学会は、病気の治療と関係のない卵子凍結では、採卵するときの年齢は 36 歳未満が望ましい[3]としています。

凍結した卵子は、どのくらい使われているのでしょうか?

凍結した卵子を実際に使う人は、1 割ほどです[5][6]。都内の医療機関の調査でも、凍結した健康な女性 4,567 人のうち、使ったのは 8.4%[8] でした。凍結したあとに自然に妊娠したり、そのときの自分の卵子で治療したりする人も少なくありません[1]。

体への負担やリスクは、あるのでしょうか?

  • 卵巣が腫れておなかに水がたまる、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こることがある[1]。おなかの張り・急な体重の増加・尿が減るときは、すぐに医療機関に連絡する[1]
  • 採卵のときの痛み、まれに出血や感染、膀胱や腸などの傷[1][10]
  • 凍結した卵子を使っても、妊娠するときの年齢が上がることによるリスク(妊娠高血圧症候群、早産など)は、そのまま残る[1]

日本産科婦人科学会は、こうした卵子凍結を推奨も否定もせず[4]、正しい情報を知って納得したうえで決めることを勧めています。

費用や助成は、どうなっているのでしょうか?

病気の治療ではない卵子凍結は、保険の対象になりません[1]。凍結した卵子を使う治療も自費です[1]。都内の医療機関に聞いた 2023 年の調査では、卵子凍結の総額は、安いほうで 30〜40 万円ほど、高いほうでは 50 万円を超える施設が半分ほど[8]ありました。凍結する卵子の数でも変わり[8]、保管にも毎年費用がかかります。

国のモデル事業では、都道府県を通して、1 人 1 回、20 万円まで[2]助成を受けられることがあります。健康な人は 18 歳以上 36 歳未満・未婚[1]が対象で、講習会の受講と、凍結後およそ 10 年、年 1 回の調査への参加が条件です[1][2]。都道府県によっては対象になりません[1]。東京都は、18〜39 歳の都民に独自の助成[9]をしています。くわしくは、こども家庭庁の卵子凍結パンフレットと、東京都福祉局の卵子凍結の助成のページで確かめられます。