AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の「数」のめやすです。採卵でどのくらい卵子がとれそうか、見通しを立てるのに役立ちます。卵子の「質」や、自然に妊娠できるかどうかまでは、この値だけではわかりません。治療は、年齢やほかの検査と合わせて考えていきます。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の「数」のめやすです。採卵でどのくらい卵子がとれそうか、見通しを立てるのに役立ちます。卵子の「質」や、自然に妊娠できるかどうかまでは、この値だけではわかりません。治療は、年齢やほかの検査と合わせて考えていきます。
AMH は何を測っているのでしょうか?
AMH は、育ちはじめの小さな卵胞から出るホルモンです。卵巣にこうした卵胞がどのくらい残っているかがわかるので、「卵巣予備能」のめやすとして使われます。同じ目的で、超音波で小さな卵胞を数える「胞状卵胞数(Antral follicle count: AFC)」という検査もあります。
体外受精では、薬で卵巣にはたらきかけて、いくつかの卵子を育てます。そのとき卵巣がどのくらい反応しそうかを前もって知るのに、AMH と胞状卵胞数が役に立つと、生殖医療のガイドラインでも示されています。
AMH は、卵巣に残る卵子の「数」のめやす。「質」はおもに年齢と関わり、AMH だけでは決まらない。 出どころ: 生殖医療ガイドライン 2021、CQ6(2021)、Testing and interpreting measures of ovarian reserve: a committee opinion(2020) 画像として保存
AMH の値から、何がわかり、何がわからないのでしょうか?
AMH は「数」のめやすです。値が高ければ、採卵で多くの卵子がとれそうだと見込めます。値が低ければ、とれる数は少なめになりそうです。卵子の質に深く関わっているのは、おもに年齢です。
自然に妊娠できるかどうかも、AMH の値だけでは決まりません。不妊の診断を受けていない 30 代から 40 代前半の女性を追った研究では、AMH が低い人と正常な人とで、その後に妊娠する割合に差はみられませんでした。
ほかにも、知っておくと安心なことがあります。
- AMH は月経周期のなかで大きく変わらないので、いつでも測れます。
- ピルなどのホルモン剤を使っていると、実際より低めに出ることがあります。
- AMH が高すぎるときは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という、排卵が起こりにくい状態が関係していることがあります。
- AMH が低いことと、閉経が近いことは同じではありません。
- ただ、AMH がとても低いときは、「早発卵巣不全」に早く気づく手がかりの一つになります。
AMH が低いとき、治療はどう変わるのでしょうか?
値が低いと聞くと、あせったり、自分を責めてしまったりすることがあります。そう感じるのは、とても自然なことです。AMH が低いとわかっても、すぐに体外受精しか選べないということではありません。治療は、年齢・月経の周期・ほかのホルモン検査・精液検査・卵管の検査などを合わせて考えます。
体外受精を選ぶ場合、AMH が低い人は、採卵でとれる卵子の数が少なめになりそうです。そのため、薬の量や卵巣へのはたらきかけ方を、それに合わせて選びます。妊娠のしやすさには、精液の状態など男性側のことも大きく関わります。検査は二人で受けるもの、と考えておくとよいと思います。
AMH の検査は保険で受けられるのでしょうか?
不妊症の患者さんが、卵巣の働きを調べて治療の方針を決めるために AMH を測る場合、6 か月に 1 回まで保険で受けられます(2026 年 4 月時点の決まり)。保険で受けられる場面は診療報酬の改定で変わることがあるので、受診先で確かめておくと安心です。
受診は、いつ考えればよいのでしょうか?
AMH の値だけで、受診を急ぐ必要はありません。次のような場合は、AMH を含む検査を受けて、いまの状態を知っておくと安心です。
- 妊娠を望んで避妊をせずに 1 年たっても妊娠しない(日本産科婦人科学会は、これを「不妊症」としています)
- 排卵がない
- 月経の周期が大きく乱れている
受診先を探すときは、日本産科婦人科学会の施設検索で、体外受精などを行う登録施設を都道府県ごとに探せます。
AMH
抗ミュラー管ホルモンです。育ちはじめの小さな卵胞から出るホルモンで、卵巣に残っている卵子の数のめやすになる血液検査の項目です。
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胞状卵胞数
超音波検査で数える、月経のはじめごろに卵巣に見える小さな卵胞の数です。AMH と並んで、卵巣予備能のめやすに使います。
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採卵
体外受精や卵子凍結のために、腟から超音波で卵巣を見ながら、細い針で卵胞の中の卵子を吸いとることです。卵子の数などに応じて局所麻酔や静脈麻酔などを併用して行います。
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卵胞
卵巣の中で卵子を包んでいる小さな袋です。月経周期ごとに育ち、いちばん大きく育ったものから卵子が出ていきます。
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不妊症
妊娠を望んで避妊をせずに性交をしていても、1 年たっても妊娠しない状態です。日本産科婦人科学会はこの期間を 1 年としています。
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体外受精
卵巣から卵子をとり出し、体の外で精子と出会わせて受精させる治療です。育った胚を子宮に戻します。
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月経周期
月経が始まった日を 1 日目として、次の月経が始まる前の日までの日数です。
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低用量ピル
女性ホルモンを含む飲み薬で、毎日 1 錠ずつ飲んで排卵をおさえ、妊娠を防ぎます。月経痛を抑える作用もあります。医療機関で処方してもらいます。
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卵巣予備能
卵巣にどのくらい卵子が残っているかの程度です。AMH や胞状卵胞数で見積もります。
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排卵
育った卵胞から卵子が卵巣の外へ出ることです。脳から出るホルモン(LH)が急に増えることがきっかけになります。
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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
排卵が起こりにくく、月経不順になりやすい状態です。卵巣に小さな卵胞がたくさん見えることや、男性ホルモンなどが多めになることが特徴です。
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早発卵巣不全
40 歳より前に卵巣の働きが大きく下がり、月経が止まったり不規則になったりする状態です。診断は月経の様子と FSH などのホルモン検査で行います。
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精液検査
精液の量や、精子の数・動き・形を調べる検査です。男性の不妊を調べるときの、いちばん基本の検査です。
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