妊娠を望んで避妊をせずに 1 年たっても妊娠しない場合を、不妊症といいます。原因には、排卵・卵管・子宮など女性側のものと、精子をつくる働きなど男性側のものがあり、検査をしてもはっきりしないこともあります。女性が 35 歳以上なら、半年で検査を考えるのがめやすです。

不妊症とは、どういう状態なのでしょうか?

日本産科婦人科学会は、妊娠を望む男女が避妊をせずに性交をしていても、1 年たっても妊娠しない場合を「不妊症」としています。

1 年たっても妊娠しない場合は、その後に自然に妊娠する可能性が下がっていくと考えられているので、この期間が一つの区切りになっています。卵管がつまっている、精子がとても少ないなど、治療をしないと妊娠がむずかしい状態があれば、期間にかかわらず不妊症にあたります。

不妊症には、どのような原因があるのでしょうか?

原因は女性側にも男性側にもあり、なかでも「排卵」「卵管」「男性側」の 3 つが多いとされています。

不妊の原因が起こりうる場所:女性の卵巣・卵管・子宮・子宮の入り口と、男性の精巣・精子の通り道 不妊の原因は、どこで起こりうるのでしょうか? 女性 卵巣 卵管 子宮 1 2 3 4 1 卵巣:排卵がうまく起きない 多嚢胞性卵巣症候群、早発卵巣不全など 2 卵管:つまる、まわりと癒着する クラミジア、子宮内膜症、手術のあとなど 3 子宮:着床のさまたげになる 内側にせり出す筋腫、ポリープ、癒着など 4 子宮の入り口 精子が進みにくい 男性 5 6 5 精巣:精子をつくる働き 数が少ない、動きが悪い 精索静脈瘤など 6 精子の通り道がふさがる 7 性機能:勃起や射精 がうまくいかない 精巣 精子の通り道 精子 このほか、精子の動きを止める抗体(免疫)や、検査をしても原因がはっきりしない場合もあります。図は位置のめやすです。
不妊の原因は、女性側にも男性側にもあります。排卵・卵管・男性側の 3 つが多いとされています。いくつかが重なることも、はっきりしないこともあります。 出どころ: 生殖医療 Q&A 2025(Q2 定義、Q3 頻度、Q4 原因、Q5 なりやすい人、Q6 検査を受ける時期、Q7 検査の内容)(2025) 画像として保存

女性側の原因には、おもに次のようなものがあります。

  • 排卵の問題:月経が不順だったり、来なかったりするときは、排卵がうまく起きていないことがあります。
  • 卵管の問題:卵管がつまったり、まわりと癒着したりすると、卵子と精子が出会いにくくなります。
  • 子宮の問題:子宮の内側にせり出す子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮の中の癒着などは、受精卵の着床のさまたげになることがあります。
  • そのほか:頸管因子(子宮の入り口の問題)や免疫因子、受精障害、加齢も関係しています。

男性側の原因は、大きく 3 つに分けられます。

  • 精子をつくる働きの問題:精子の数が少ない、動きが悪いといった状態です。
  • 性機能の問題:勃起がうまくいかない、射精がうまくできないといった状態です。
  • 精子の通り道の問題:精子はつくられているのに、通り道がふさがっていて、精液の中に出てこない状態です。

検査をしても、はっきりした原因が見つからないこともあります。これを原因不明不妊といいます。原因がないということではなく、今の検査ではわからない、という意味です。

いつ、検査を考えればよいのでしょうか?

めやすは、女性の年齢によって変わります。

  • 女性が 35 歳未満なら、1 年たっても妊娠しないとき
  • 女性が 35 歳以上なら、半年たっても妊娠しないとき

35 歳以上で期間を短くするのは、年齢とともに妊娠しやすさが下がっていくためです。

次のような場合は、期間を待たずに産婦人科へご相談ください。

  • 月経の周期が大きく乱れている、または月経が来ない
  • 月経痛が強い、月経の量が多い
  • 子宮内膜症や子宮筋腫などを指摘されたことがある
  • クラミジアなどの性感染症や、子宮のまわりの炎症(骨盤腹膜炎)にかかったことがある
  • 性交や射精がうまくいかない

検査では、どんなことを調べるのでしょうか?

女性は、超音波検査で子宮や卵巣のようすを見て、月経周期に合わせた血液検査でホルモンを調べます。子宮卵管造影検査では、子宮の形や、卵管が通っているかを確かめます。

男性は、精液検査を受けます。精液の量や、精子の数・動きを調べる検査です。

不妊に悩むカップルのおよそ半数では、男性側にも原因があるとされています。女性の検査と同じ時期に、男性も精液検査を受けておくと、原因を早く見つけやすくなります。

パートナーと一緒に、何を考えておくとよいのでしょうか?

原因が女性側にあっても男性側にあっても、どちらかのせいということではありません。どちらか一人の問題として抱えず、「二人のこと」として話し合っておくと、その後の選択もしやすくなります。

結果は、二人でこれからを考えるための材料です。わからないことは、そのつど担当の医師に聞きながら、一つずつ確かめていけば十分です。