精液検査では、精液の量や、精子の濃さ・動き・形を調べます。WHO の基準値は、自然に妊娠した男性の下から 5% にあたる値で、これを下回っても妊娠できないということではありません。結果は日によって大きく変わることがあるので、2 回以上の検査で判断します。異常があれば、泌尿器科でくわしく調べ、程度に合った治療を考えます。
検査は、どのように受けるのでしょうか?
精液検査は、男性の不妊を調べるときのいちばん基本の検査です。検査の前は、2〜7 日ほど射精を控えます。精液は、マスターベーションで清潔な容器に採ります。医療機関の採精室で採る方法と、自宅で採って持っていく方法があり、医療機関で採るほうが正確な結果が出やすいとされています。
自宅で採るときは、容器を体に近づけて温度を保ち、できれば採ってから 30 分以内、遅くとも 50 分以内に届けられることが理想です。ふつうのコンドームや潤滑剤は、精子に影響するので使いません。
精液検査は、不妊症を診ている産婦人科や泌尿器科で受けられます。一般の泌尿器科ではしていないこともあるので、前もって確かめておくと安心です。不妊に悩むカップルのおよそ半数では、男性側にも原因があります。女性の検査と同じころに精液検査も受けておくと、二人に合った治療を早く考えられます。
基準値を下回ると、妊娠できないのでしょうか?
妊娠できないということではありません。基準値を下回っていても自然に妊娠するカップルもいますし、基準値を上回っていても妊娠しにくいことがあります。結果は、女性側の検査の結果や年齢とあわせて考えます。
「数字が低かった」と言われると、落ちこんでしまいますよね。1 回の結果だけで決めつけずに、次の検査や医師の説明を待ってみてください。どちらかのせいにせず、二人の検査の結果として受けとめられるとよいと思います。
結果が悪かったら、もう一度受けたほうがよいのでしょうか?
精液の状態は、日によって大きく変わることがあります。日本泌尿器科学会の男性不妊症診療ガイドラインは、少なくとも 2 回以上の結果で判断するべきとしています。日を改めて調べると、異常がないこともあります。
熱が出る病気をしたあとや、射精を控えた日数、精液の一部を採りそこねたこと、飲んでいる薬などでも結果が変わります。思いあたることがあれば、検査のときに伝えておくと安心です。
異常があったら、次に何をするのでしょうか?
泌尿器科の医師、できれば生殖医療専門医に診てもらうことがすすめられています。泌尿器科の生殖医療専門医は、日本生殖医学会の生殖医療専門医 認定者一覧で、都道府県ごとに探せます。
泌尿器科では、問診や診察、陰嚢の超音波検査、ホルモンの血液検査などを行います。無精子症や高度乏精子症(精子がとても少ない状態)のときは、染色体などを調べる検査もすすめられています。
治療は、結果の程度によって変わります。軽いときは生活習慣の見直しや人工授精を考えます。精子がとても少ないときは、体外受精や顕微授精に進みます。精索静脈瘤があれば、手術で改善することもあります。精液に精子がいなくても、精巣の中に精子が見つかれば、顕微授精で子どもを望めることがあります。くわしくは「男性不妊には、どのような原因と検査・治療がありますか?」で説明しています。
生活のなかで、できることはあるのでしょうか?
喫煙と肥満を改善することがすすめられています。精子は熱に弱いので、精巣を温めすぎないことも大切です。長いサウナや熱いお風呂、体にぴったりした下着を毎日はくことで、精巣の温度が上がるとされています。