精液検査では、精液の量や、精子の濃さ・動き・形を調べます。WHO の基準値は、自然に妊娠した男性の下から 5% にあたる値[3]で、これを下回っても妊娠できないということではありません[3]。結果は日によって大きく変わることがあるので、2 回以上の検査で判断します[1]。異常があれば、泌尿器科でくわしく調べ[1]、程度に合った治療を考えます。

精液検査の WHO の基準値 精液検査の基準値(WHO、2021 年) 精液の量 1.4mL 以上 動いている精子(総運動率) 42% 以上 精子の濃さ 1mL あたり 1,600 万以上 前に進む精子(前進運動率) 30% 以上 精子の数(1 回の精液) 3,900 万以上 正常な形の精子 4% 以上 自然に妊娠した男性の、下から 5% にあたる値です 下回っても妊娠できないということではありません。日によって変わることがあるので 2 回以上調べます
WHO の基準値は、1 年以内に自然に妊娠したカップルの男性のうち、下から 5% にあたる値です。妊娠できるかどうかの境目ではありません。 出どころ: WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition(2021)、男性不妊症診療ガイドライン 2024 年版(2024) 画像として保存

検査は、どのように受けるのでしょうか?

精液検査は、男性の不妊を調べるときのいちばん基本の検査です。検査の前は、2〜7 日ほど射精を控えます[2][3]。精液は、マスターベーションで清潔な容器に採ります。医療機関の採精室で採る方法と、自宅で採って持っていく方法があり、医療機関で採るほうが正確な結果が出やすい[2]とされています。

自宅で採るときは、容器を体に近づけて温度を保ち、できれば採ってから 30 分以内、遅くとも 50 分以内に届けられることが理想です。ふつうのコンドームや潤滑剤は、精子に影響するので使いません[3]。

精液検査は、不妊症を診ている産婦人科や泌尿器科で受けられます[5]。一般の泌尿器科ではしていないこともある[2]ので、前もって確かめておくと安心です。不妊に悩むカップルのおよそ半数では、男性側にも原因があります[2]。女性の検査と同じころに精液検査も受けておくと、二人に合った治療を早く考えられます。

基準値を下回ると、妊娠できないのでしょうか?

妊娠できないということではありません。基準値を下回っていても自然に妊娠するカップルもいますし、基準値を上回っていても妊娠しにくいことがあります[3]。結果は、女性側の検査の結果や年齢とあわせて考えます。

「数字が低かった」と言われると、落ちこんでしまいますよね。1 回の結果だけで決めつけずに、次の検査や医師の説明を待ってみてください。どちらかのせいにせず、二人の検査の結果として受けとめられるとよいと思います。

結果が悪かったら、もう一度受けたほうがよいのでしょうか?

精液の状態は、日によって大きく変わることがあります。日本泌尿器科学会の男性不妊症診療ガイドラインは、少なくとも 2 回以上の結果で判断するべき[1]としています。日を改めて調べると、異常がないこともあります[4]。

熱が出る病気をしたあとや、射精を控えた日数、精液の一部を採りそこねたこと、飲んでいる薬などでも結果が変わります[3]。思いあたることがあれば、検査のときに伝えておくと安心です。

異常があったら、次に何をするのでしょうか?

泌尿器科の医師、できれば生殖医療専門医に診てもらうことがすすめられています[1]。泌尿器科の生殖医療専門医は、日本生殖医学会の生殖医療専門医 認定者一覧[8]で、都道府県ごとに探せます。

泌尿器科では、問診や診察、陰嚢の超音波検査、ホルモンの血液検査などを行います[2]。無精子症や高度乏精子症(精子がとても少ない状態)のときは、染色体などを調べる検査もすすめられています[1]。

治療は、結果の程度によって変わります。軽いときは生活習慣の見直しや人工授精を考えます[2]。精子がとても少ないときは、体外受精や顕微授精に進みます[2]。精索静脈瘤があれば、手術で改善することもあります[2]。精液に精子がいなくても、精巣の中に精子が見つかれば、顕微授精で子どもを望めることがあります[4]。くわしくは「男性不妊には、どのような原因と検査・治療がありますか?」で説明しています。

生活のなかで、できることはあるのでしょうか?

喫煙と肥満を改善することがすすめられています。精子は熱に弱い[2]ので、精巣を温めすぎないことも大切です。長いサウナや熱いお風呂、体にぴったりした下着を毎日はくことで、精巣の温度が上がるとされています。