AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の「数」のめやすです。採卵でどのくらい卵子がとれそうか、見通しを立てるのに役立ちます。卵子の「質」や、自然に妊娠できるかどうかまでは[3]、この値だけではわかりません。治療は、年齢やほかの検査と合わせて考えていきます。

AMH は何を測っているのでしょうか?

AMH は、育ちはじめの小さな卵胞から出るホルモン[2]です。卵巣にこうした卵胞がどのくらい残っているかがわかるので、「卵巣予備能」のめやすとして使われます。同じ目的で、超音波で小さな卵胞を数える「胞状卵胞数(Antral follicle count: AFC)」という検査もあります。

体外受精では、薬で卵巣にはたらきかけて、いくつかの卵子を育てます。そのとき卵巣がどのくらい反応しそうかを前もって知るのに、AMH と胞状卵胞数が役に立つと、生殖医療のガイドラインでも示されています[1]。

AMH が示すのは卵子の「数」のめやすであり、「質」は年齢と関係する AMH がわかること・わからないこと AMH が示すもの 卵子の「数」のめやす 卵巣に残っている卵胞の量を反映する 採卵で得られる卵子数の予測に使う 多い ⇔ 少ない AMH が示さないもの 卵子の「質」 質はおもに年齢と関わる 自然妊娠できるかどうかを直接は示さない AMH だけでは決まらない 治療は年齢やほかの検査と合わせて考える
AMH は、卵巣に残る卵子の「数」のめやす。「質」はおもに年齢と関わり、AMH だけでは決まらない。 出どころ: 生殖医療ガイドライン 2021、CQ6(2021)、Testing and interpreting measures of ovarian reserve: a committee opinion(2020) 画像として保存

AMH の値から、何がわかり、何がわからないのでしょうか?

AMH は「数」のめやすです。値が高ければ、採卵で多くの卵子がとれそうだと見込めます。値が低ければ、とれる数は少なめになりそうです。卵子の質に深く関わっているのは、おもに年齢です[2]。

自然に妊娠できるかどうかも、AMH の値だけでは決まりません。不妊の診断を受けていない 30 代から 40 代前半の女性を追った研究では、AMH が低い人と正常な人とで、その後に妊娠する割合に差はみられませんでした[3]。

ほかにも、知っておくと安心なことがあります。

  • AMH は月経周期のなかで大きく変わらないので、いつでも測れます[2]。
  • ピルなどのホルモン剤を使っていると、実際より低めに出る[2]ことがあります。
  • AMH が高すぎるときは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)[10]という、排卵が起こりにくい状態が関係していることがあります。
  • AMH が低いことと、閉経が近いことは同じではありません。
  • ただ、AMH がとても低いときは、「早発卵巣不全[9]」に早く気づく手がかりの一つになります。

AMH が低いとき、治療はどう変わるのでしょうか?

値が低いと聞くと、あせったり、自分を責めてしまったりすることがあります。そう感じるのは、とても自然なことです。AMH が低いとわかっても、すぐに体外受精しか選べないということではありません。治療は、年齢・月経の周期・ほかのホルモン検査・精液検査・卵管の検査などを合わせて考えます。

体外受精を選ぶ場合、AMH が低い人は、採卵でとれる卵子の数が少なめになりそうです。そのため、薬の量や卵巣へのはたらきかけ方[1]を、それに合わせて選びます。妊娠のしやすさには、精液の状態など男性側のことも大きく関わります。検査は二人で受けるもの、と考えておくとよいと思います。

AMH の検査は保険で受けられるのでしょうか?

不妊症の患者さんが、卵巣の働きを調べて治療の方針を決めるために AMH を測る場合、6 か月に 1 回まで[4]保険で受けられます(2026 年 4 月時点の決まり)。保険で受けられる場面は診療報酬の改定で変わることがあるので、受診先で確かめておくと安心です。

受診は、いつ考えればよいのでしょうか?

AMH の値だけで、受診を急ぐ必要はありません。次のような場合は、AMH を含む検査を受けて、いまの状態を知っておくと安心です。

  • 妊娠を望んで避妊をせずに 1 年たっても妊娠しない[8](日本産科婦人科学会は、これを「不妊症」としています)
  • 排卵がない
  • 月経の周期が大きく乱れている

受診先を探すときは、日本産科婦人科学会の施設検索で、体外受精などを行う登録施設を都道府県ごとに探せます。