卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、排卵を助ける薬で卵巣が刺激されすぎて腫れ、おなかに水がたまる状態です[1]。注射の薬で卵巣にはたらきかけた人の 5% ほどに起こるとされます[1][2]。起こりやすい人には、薬の選び方や胚の凍結で予防します[1]。おなかの張りや急な体重の増加、尿の減少[1]に気づいたら、すぐに治療先に連絡してください。
OHSS では、体に何が起こるのでしょうか?
ふだんの卵巣は、3〜4 cm ほどの大きさです[1]。薬で卵胞がたくさん育つと卵巣が腫れ、血管から水分がもれて、おなかや胸に水がたまります[1]。血管の中は水分が足りなくなって血液が濃くなり、尿が減ります[1]。重くなると、腎臓の働きが落ちたり、血栓症が起こったり[2]することがあります。
どのような人に、いつ起こりやすいのでしょうか?
体外受精では卵胞をたくさん育てるので、一般の排卵誘発より起こりやすくなります[1]。次のような人は、とくに注意が必要です。
卵子を成熟させる hCG の注射のあとに起こりやすい[1]とされます。妊娠すると体の中で hCG がつくられるので、症状が重くなったり、長引いたりしやすくなります[1][3]。
予防するには、どうするのでしょうか?
起こりやすい人には、治療の段階ごとに予防のくふうをします。
- 薬の量を控えめにする[3]
- 卵子を成熟させる薬を、hCG から GnRH アゴニストに替える[2]
- 胚をすべて凍結し、その周期には移植しない[2][5]
- カベルゴリンやレトロゾールなどの飲み薬を使う[1][4][6]
胚をすべて凍結するのは、妊娠でできる hCG によって OHSS が重くなるのを避けるため[3]です。カベルゴリンは、OHSS のリスクが高い人には保険で使えます[4]。
家では、どのように過ごせばよいのでしょうか?
採卵のあとにおなかが張ると、心配になりますよね。軽い OHSS なら、通院しながら様子を見ることができます[3]。水分は 1 日 1[3],000 mL ほどとり、軽く体を動かします。卵巣のねじれを防ぐため、激しい運動や性交は控えます[3]。体重を毎日量っておくと、1 日に 1 kg 以上増えたときに気づきやすくなります[3]。
連絡したほうがよいのは、どのようなときでしょうか?
次のようなときは、治療を受けている医療機関に連絡してください。
妊娠している場合は、OHSS が良くなってから数週間たって血栓症が起こることもあります[1]。首や腕・脚の腫れ、頭痛、息苦しさ[1]があれば、時期にかかわらず連絡してください。