卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、排卵を助ける薬で卵巣が刺激されすぎて腫れ、おなかに水がたまる状態です[1]。注射の薬で卵巣にはたらきかけた人の 5% ほどに起こるとされます[1][2]。起こりやすい人には、薬の選び方や胚の凍結で予防します[1]。おなかの張りや急な体重の増加、尿の減少[1]に気づいたら、すぐに治療先に連絡してください。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で起こること 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で起こること ふだん 卵巣は 3〜4 cm ほど OHSS 卵胞がたくさん育ち、卵巣が腫れる おなかに水がたまる 血液が濃くなり、尿が減る 連絡するサイン ・おなかが張る (ウエストがきつい) ・おなかが痛む、吐き気 ・1 日に 1 kg 以上 体重が増える ・尿の量や回数が減る ・息が苦しい 注射の薬で卵巣にはたらきかけた人の 5% ほどに起こるとされます。 起こりやすい人には、薬の選び方や胚の凍結で予防します。
OHSS では、卵巣が腫れておなかに水がたまります。おなかの張りや急な体重の増加、尿の減少に気づいたら、すぐに治療先に連絡してください。 出どころ: 重篤副作用疾患別対応マニュアル 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)(令和 3 年 4 月改定)(2021)、患者さんのための生殖医療ガイドライン(2023)、産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2020、CQ327(p.156〜158)(2020) 画像として保存

OHSS では、体に何が起こるのでしょうか?

ふだんの卵巣は、3〜4 cm ほどの大きさです[1]。薬で卵胞がたくさん育つと卵巣が腫れ、血管から水分がもれて、おなかや胸に水がたまります[1]。血管の中は水分が足りなくなって血液が濃くなり、尿が減ります[1]。重くなると、腎臓の働きが落ちたり、血栓症が起こったり[2]することがあります。

どのような人に、いつ起こりやすいのでしょうか?

体外受精では卵胞をたくさん育てるので、一般の排卵誘発より起こりやすくなります[1]。次のような人は、とくに注意が必要です。

  • 多囊胞性卵巣症候群(PCOS)がある[1]
  • AMH の値が高い[1]
  • 若い、やせている[1]
  • 前に OHSS になったことがある[2]
  • 育った卵胞や、採れた卵子の数が多い[1]

卵子を成熟させる hCG の注射のあとに起こりやすい[1]とされます。妊娠すると体の中で hCG がつくられるので、症状が重くなったり、長引いたりしやすくなります[1][3]。

予防するには、どうするのでしょうか?

起こりやすい人には、治療の段階ごとに予防のくふうをします。

  • 薬の量を控えめにする[3]
  • 卵子を成熟させる薬を、hCG から GnRH アゴニストに替える[2]
  • 胚をすべて凍結し、その周期には移植しない[2][5]
  • カベルゴリンやレトロゾールなどの飲み薬を使う[1][4][6]

胚をすべて凍結するのは、妊娠でできる hCG によって OHSS が重くなるのを避けるため[3]です。カベルゴリンは、OHSS のリスクが高い人には保険で使えます[4]。

家では、どのように過ごせばよいのでしょうか?

採卵のあとにおなかが張ると、心配になりますよね。軽い OHSS なら、通院しながら様子を見ることができます[3]。水分は 1 日 1[3],000 mL ほどとり、軽く体を動かします。卵巣のねじれを防ぐため、激しい運動や性交は控えます[3]。体重を毎日量っておくと、1 日に 1 kg 以上増えたときに気づきやすくなります[3]。

連絡したほうがよいのは、どのようなときでしょうか?

次のようなときは、治療を受けている医療機関に連絡してください。

  • おなかが張る(スカートのウエストがきつい)[2]
  • おなかが痛む、吐き気がする[1]
  • 1 日に 1 kg 以上、体重が増える[3]
  • 尿の量や回数が減る[1][3]
  • 息が苦しい[1]

妊娠している場合は、OHSS が良くなってから数週間たって血栓症が起こることもあります[1]。首や腕・脚の腫れ、頭痛、息苦しさ[1]があれば、時期にかかわらず連絡してください。