体外受精は、5 つの段階で進みます。①薬で卵巣にはたらきかけて卵子を育て、②卵子をとり出し(採卵)、③体の外で受精させます。④そのあと胚を育てて、⑤子宮に戻します(胚移植)。日本では、胚をいったん凍結して別の周期に戻す方法が 9 割以上を占めます[4]。検査から移植まで、短くても 3 か月ほど、ふつうは半年ほど[6]かかります。
卵子は、どのように育てるのでしょうか?
二人の検査の結果をもとに、医師が治療計画を立てます。ふつうの月経周期では、育つ卵子は 1 個です。体外受精では、薬を 1〜2週間ほど使って[1]卵巣にはたらきかけ、いくつかの卵子を一度に育てます。
薬の使い方には、いくつかの方法があります。どの方法にするかは、年齢や卵巣の働き、これまでの治療の結果などをふまえて決めます。
採卵は、どのように行うのでしょうか?
腟から超音波で卵巣を見ながら、細い針で卵胞の中の卵子を吸いとります。痛みの感じ方には個人差があり、卵子の数などに応じて麻酔を使うかどうかを決めます[1]。採卵の日は、パートナーにも精液を用意してもらいます。
採卵のあとに、少し出血したり、おなかが痛んだりすることがあります。卵巣が腫れる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にも、注意が必要です。次のようなときは、すぐに医療機関に連絡してください。
- おなかの張りや痛み、吐き気が強くなったとき
- 急に体重が増えたり、尿が減ったりしたとき[2]
胚は、どのように子宮に戻すのでしょうか?
体外受精では、卵子に精子をふりかけて受精を待ちます。精子がとても少ない場合などは、精子を 1 つ選んで卵子の中に入れる顕微授精を行います。すべての受精卵が、胚盤胞まで育つということではありません。
胚を戻す時期には、2 つの方法があります。
- 新鮮胚移植:採卵した周期のうちに、胚を戻します。
- 凍結胚移植:胚をいったん凍結し、別の周期に子宮の内膜を整えてから戻します。
胚を戻したあとは、多くの場合、妊娠を支える黄体ホルモンを薬で補います[2]。凍結した胚は保存しておき、次の移植に使えます。保存は、ふつう 1 年ごとに更新の手続き[1]をします。更新するかどうかは、二人の同意で決めます[1]。
妊娠したかどうかは、どのように確かめるのでしょうか?
胚移植のあと、血液の検査で妊娠のホルモン(hCG)[3]を測って判定します。そのあと、超音波で子宮の中に胎嚢が見えるかどうか[3]を確かめます。
2024 年の日本の集計では、凍結胚移植 1 回あたりの妊娠(胎嚢が確かめられた)の割合は 42.6%、出産に至った割合は 30.4%[4] でした。年齢によって大きく変わるので、年齢ごとの数字は「年齢とともに、妊娠のしやすさはどう変わるのでしょうか?」で説明しています。
仕事や生活との両立は、どうすればよいのでしょうか?
体外受精の 1 周期のあいだに、女性は 1〜3 時間ほどの通院が 4〜10 日[6]と、採卵などで半日から 1 日かかる日が 1〜2 日[6]あるとされています。通院の日は、卵胞の育ち方によって急に決まることもあります。
厚生労働省は、職場に治療のことを伝えるための「不妊治療連絡カード」や、両立のためのハンドブック[7]を用意しています。治療の悩みは、お住まいの地域の「性と健康の相談センター」[8]にも相談できます。
体外受精は、体にも気持ちにも負担がかかりやすい治療です。一回ごとの結果に気持ちが揺れるのは、自然なことです。どこまで続けるかは、二人で話しながら決めていけるとよいと思います。