不妊に悩むカップルのおよそ半数では、男性側にも原因があります。原因の 8 割ほどは精子をつくる力の問題です。検査は精液検査から始め、必要に応じて泌尿器科で調べます。原因によっては手術や薬で改善が期待でき、精液に精子がいなくても、精巣から精子をとり出せることがあります。
男性不妊には、どのような原因があるのでしょうか?
日本生殖医学会は、不妊症の約 50% は男性側にも原因がある[2]としています。
精索静脈瘤は、精巣の上を通る静脈がこぶのようにふくらむ状態で、治療できる原因として大切です。
「自分が原因かもしれない」と考えるのは、つらいことですよね。どちらに原因があるかより、二人で一緒に次の一歩を考えることが大切です。
どのような検査をするのでしょうか?
まず、精液検査で、精液の量や、精子の数・動き・形を調べます。精液検査の結果は日によって大きく変わるので、1 回だけで判断せず、くり返し調べるのがふつうです[3]。女性の検査と並行して早めに受けることで、治療の方針を早く決められます。
精液検査で気になる結果が出たときは、次のような検査をします。
- 問診と診察:子どものころの病気や手術、飲んでいる薬を聞き[2]、精巣の大きさや精索静脈瘤の有無を調べます。
- 血液の検査:精子づくりに関わるホルモン(FSH、LH、男性ホルモン[2]など)を測ります。
- 染色体などの検査:精子がいない、またはとても少ない場合に、原因を調べます[1]。
どのような治療があるのでしょうか?
治療は、原因によって変わります。
- 精索静脈瘤:診察で触れてわかる程度の大きさがあり、精液の結果がよくない場合は、手術がすすめられています[1]。複数の研究をまとめた解析では、手術で妊娠率が上がる可能性[6]が示されています。
- ホルモンの不足:脳から出る精子づくりのホルモンが足りない場合は、ホルモンの注射で、多くの人に精子がつくられるようになります[1]。
- 勃起や射精の問題:勃起を助ける薬[2]や、射精の問題に合わせた治療があります。
- 精子の通り道の問題:精管を手術でつなぎ直せる場合は、80〜90% で精液に精子が戻る[2]とされています。
生活習慣では、禁煙がすすめられています[2]。精子の数が少ないときは、状態に合わせて、人工授精や体外受精、顕微授精を考えます。くわしくは「タイミング法・人工授精・体外受精は、どう違いますか?」で説明しています。
男性ホルモンの薬は、使ってもよいのでしょうか?
妊娠を望んでいるときは、男性ホルモン(テストステロン)の薬や注射は使わないことが大切です。米国泌尿器科学会と米国生殖医学会は、妊娠を望む男性には処方しないようにすすめています[8]。外から男性ホルモンを補うと、脳が精子づくりの指令を弱めて、精子が少なくなったり、いなくなったりする[8]ことがあります。もとに戻るまで数か月以上かかり、まれに戻りきらないこともあります[8]。
男性型脱毛症(AGA)の薬(フィナステリドやデュタステリド)を使っていると、一部の人で精液の量や精子の数が減る[10]ことが報告されています[9][11]。男性更年期などで男性ホルモンを処方されている場合や、男性型脱毛症の薬を使っている場合は、妊娠を望んでいることを主治医に伝えて相談しておくと安心です。
精液に精子がいないときは、どうするのでしょうか?
精液の中に精子がいない状態を、無精子症といいます。無精子症でも、精巣の中では精子がつくられていることがあります。手術で精巣から精子を探してとり出す方法を、精巣内精子採取術(TESE)といいます。とり出した精子は、顕微授精に使います。