がんの治療の前に、卵子や受精卵(胚)・卵巣の組織・精子を凍結して、妊娠する力を残す方法があります[2]。治療でどのくらい影響を受けるかは、薬の種類や量、年齢によって違います[2]。がんの治療がいちばん大切[4]で、凍結しても将来の妊娠を約束するものではありません[2]。考えたいときは、治療が始まる前に主治医に相談します[2]。国の助成も使えます[9]。
がんの治療で、なぜ妊娠する力が下がるのでしょうか?
抗がん剤や放射線の治療は、卵巣や精巣にも影響することがあります。影響の大きさは、治療の種類や量、年齢によって違います[2]。アルキル化剤や白金製剤は、卵巣の中の卵子を大きく減らすことがあります[2]。男性でも、治療のあとに精液の中に精子がいなくなることがあります[3]。
いつ、だれに相談すればよいのでしょうか?
できるだけがんの治療が始まる前に考えます[11]。すでに治療が始まっていても、方法によっては行えることがあります。
- がんの主治医に「将来、子どもを望むかもしれない」と伝えてください
- 話しにくいときは、「がん相談支援センター」でも相談できます[2]
- 行う施設は、妊孕性温存の実施施設一覧[7]で探せます
日本産科婦人科学会は、がんの主治医と生殖医療の担当医が情報を共有しながら進めることを求めています[1]。今は子どもを望んでいなくても、将来のために凍結することはできます[1]。どうするかは、説明を聞いたうえで、自分で決めることが大切です[1]。
「がんのことで頭がいっぱいで、子どものことまで考えられない」と感じるのは、とても自然なことです。迷っていることも、そのまま主治医に伝えてかまいません。
どのような方法があり、治療は遅れないのでしょうか?
方法は図のとおりです。卵子や胚を凍結するには、薬で卵巣にはたらきかけてから卵子を採るので、2 週間以上かかります[5]。月経周期によっては、さらに時間がかかることがあり、がんの治療が遅れる場合もあります[2]。日本では、卵巣の組織の凍結は、まだ研究の段階の方法とされています[2]。
精子の凍結は、思春期以降の男性では確立した方法です[3]。治療が始まってすぐに採った精子は、遺伝子が傷ついている可能性があるので、治療の前に採ることがすすめられています[11]。
がんの治療を最優先にすることが大前提です[4]。凍結するかどうかは、がんの主治医と生殖医療の担当医がよく話し合って決めます。
凍結しておけば、将来は妊娠できるのでしょうか?
凍結しても、将来の妊娠や出産を約束するものではありません[2]。卵子や胚では、採ったときの年齢が若いほど、採れた卵子の数が多いほど、妊娠の見込みは高くなります[2]。
海外の研究をまとめた報告では、凍結したものを使って出産に至った人の割合は、胚の凍結で 41%、卵子の凍結で 32% でした[12]。どの方法がよいかを、この数字でくらべることはできません[12]。
使うときは、あらためてがんの主治医から、妊娠してよいかどうかの情報を受け取ります[1]。
費用や助成は、どうなっているのでしょうか?
凍結の費用は、保険が使えません。国の事業で、1 回あたり決まった額まで助成[9]を受けられます。対象は、凍結するときに 43 歳未満の人です[9]。都道府県が指定した医療機関で受けることなど、ほかにも条件があります[9]。凍結したものを使って妊娠を目指すときの費用にも、助成があります[9]。
申請はお住まいの都道府県で行います[10]。くわしくは、厚生労働省の小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業のページで確かめられます。